2012年9月22日土曜日

9月21日:抵抗消失法は水か空気か

今日は僕の勉強会。
「1990年代にイギリスで行われた調査によれば、6割の麻酔科医が空気による抵抗消失法で指導を受けたものの、現在も空気法を用いているのは全体のわずか3割に減少している。
A survey of epidural practice amongst obstetric anaesthetists. Anaesthesia. 1998 PMID: 9613268.
空気から生食へのシフトはその後も続き、同じくイギリスで2006年に発表された調査では全体の75%が生理食塩水による抵抗消失法を用いていると回答している。
Techniques for identifying the epidural space:a survey of practice amongst anaesthetists in the UK. Anaesthesia. 2006 PMID: 16548958.
手慣れた手技を変更するためには何かきっかけが必要ということは想像に難くない。どのようないきさつで日々のプラクティスはかわったのだろう?」
・・・ということを話しました。僕なりの回答は、「幾つかの症例報告が麻酔科医の危機感をあおった」だと思っています。RCTをまとめたメタアナリシス(生食法対空気法で合併症数を比較)では生食法の優位性は「硬膜誤穿刺後の頭痛は空気法においてより頻回に生じる」ということだけが証明されていて、日々の診療を変えるまでほどの説得力はありません。

(スライドから論文の図表をはずしています)


追記:
臨床研究は日々の診療をよりよく変えることが目的だ。得られる結果の説得力を高めるためには研究の質を上げることが必要だ。お金と労力が注ぎ込まれた結果、いわゆるトップジャーナルには質の高い論文が次々と掲載される。
しかしながら、本当に日々の臨床を変える力を持つ論文はトップジャーナルでも年1報あるかないかと言われている。逆に、臨床で出くわしたことを丁寧に記録するだけでも、運がよければ日々の診療をよりよくすることはできるかも知れない、という事実を我々は知っておく必要がある。

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